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「そりゃあ気になるよ。ずーっとこの扉を守っていれば。もしかして……カカオ」
「ち、違うわよ。見たいだなんてそんなこと」
モカのほうを向き、カカオはバタバタと手を振った。かたくなな態度のカカオが珍しく揺らいでいる。口では否定しているが、瞳に映る迷いの色は正直だった。
「あれれ。どうしちゃったの? カカオ」
「モカが悪いのよ。モカがいつも見たい見たいって言うから」
「えー。ボクのせい? あ。じゃあ、今、ボクと同じでカカオも扉の向こうを見たいんだ」
「ううん。けれど、ダメ。使命に反してしまうし」
「じれったいなー。ええい、こうなったら」
煮え切らないカカオに、モカは意を決して強硬手段に出た。勢いよく立ちあがると、カカオの腕をむんずとつかみ、無理やり扉の前に引っ張った。このチャンスを逃すまいと、モカは必死だった。
「ちょっと、モカ」
「だいじょーぶだって。見ちゃお! だれもこないんだし、怒られないよ。もし危なかったら、すぐ閉めちゃえばいいんだし。ほら、カカオ」
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