二人の守護者と扉の向こう

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 モカが間延びした声でつぶやいた。カカオは、モカの手に一枚の紙を見つけて近づいた。 「それ、どうしたの?」 「テーブルの上にあった」 「なにか書いてあるの?」  うん、と首を縦に振り、モカは書かれている文字を読みあげた。 「えーっと、この家をわが愛するモカとカカオに授ける。どうか幸せに暮らして欲しい。あと、これは身勝手な私の願いだが、二人にはできることならば、この家を守りつづけて欲しい。わが想い出とともに……だって」 「じゃあ、わたしたちは自分たちの家を入りもせず、ずっと守りつづけていたってこと?」  カカオの中に、怒りがもわもわと立ちこめた。雨の日も風の日もがんばって守りつづけた扉が、自分たちの家の扉だったなんて。バカバカしいにもほどがある。 「みたいだね。けど、どうしてあれほど扉を守らなくちゃっていう思いが強かったんだろう」  自分のことを棚に上げ、モカは不思議そうに唇に指を当てる。
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