少女「あなた誰?」 宇宙人「えっ宇宙人ですけど」

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少女「へー」 宇宙人「なんですか?」 少女「てっきりあなたのことだから、『我々には性別などない』って言うのかと」 宇宙人「いえ、そんなことはありません。ただこの性別にはもはや高次の社会的意味合いは薄いでしょうね。種の存続という点に限った生物学的特色に過ぎないものです」 宇宙人「とはいえ、その交配についてもあなたが想像する営みとは食い違っているかもしれません」 少女「こ、こうはいって……」 宇宙人「ああ、すみません。性事情に羞恥を感じる文化をお持ちでしたよね」 少女「別にいいけど……それじゃあ、あなた達の場合どうやって子どもができるの?」 宇宙人「生命情報の直截的な連結と分裂です」 少女「?」 宇宙人「以前にも言いましたが、我々は半分が生命体で、半分が情報体です」 宇宙人「この『半分』というのは文字通り身体の半分ずつがそうなっているという意味ではありません」 宇宙人「『生命』という事象を科学的に解析することに成功した我々の祖先は、さらに続けてその生命現象を情報体として存続させる技術を確立させたのです」 宇宙人「つまり、我々は『生命と情報体』の二つで出来ているのではなく……正確に言えば『生命としての情報体』なのです」 少女「……」 少女「……あいかわらずよく分からないわ」 宇宙人「たとえば私が子どもを作ろうとしたら、自分の生命情報の一部と他者の生命情報の一部を直截的に繋ぎあわせた後、分離させます」 宇宙人「そうすると新たな生命情報が誕生するわけです。言うなればそれが、私の子どもですね」 少女「はぁ……なんだかすごいのね」 宇宙人「いえ、むしろある意味では原始的とさえ言うべきかもしれませんよ」
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