少女「あなた誰?」 宇宙人「えっ宇宙人ですけど」

21/43
前へ
/45ページ
次へ
少女「はぁ……」 宇宙人「……わたしは、あなたの生命の弱まりが心配です」 少女「……」 少女「『感情』の供給源がなくなるのが心配なだけじゃないの」 宇宙人「……」 少女「……ごめんなさい」 宇宙人「……」 少女「ママが呼んでるわ」 宇宙人「はい。いってらっしゃい」 少女「……」 *** 宇宙人「学校に行かないのですか?」 少女「……今日は休みなの」 宇宙人「ああ……そうでしたか。何を読んでいるので?」 少女「小説よ。SF小説」 宇宙人「へぇ。小説を読むのがお好きなんですか」 少女「ええ。ここ最近は余り読んでなかったけど、小説に限らず本を読むのは好きなのよ」 宇宙人「なるほどなるほど。年齢のわりに語彙が豊富なわけがわかりました」 少女「本を読んでいるときだけはね……なんだか心が落ち着くの」 少女「想像の世界で活躍する主人公たちに感情移入している間は、嫌なことを忘れられるもの」 宇宙人「いま読んでいるのは、どんなお話なのですか?」 少女「いま読んでるのは……宇宙人と出会った女の子のお話なの」 宇宙人「え?」 少女「ある日突然、一人の女の子のもとに宇宙人がやってくるの」 少女「宇宙人は変な姿形をしているんだけど、なぜだか憎めないヤツで……」 少女「次第にね、女の子と宇宙人は心を通わせて、仲良くなっていくの」 宇宙人「……」 少女「ふふ。まるで、今の私たちみたいでしょう?」 宇宙人「……」 少女「本当に、まるで……まるで、私たちのことを描いたみたいなお話……」 宇宙人「……」
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加