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小さい時からずっと私を慕ってくれた潤だから。
きっと、私が家を出ると言えば悲しんでくれるだろう。
寂しいと言ってひき止めてくれるかもしれない。
だけど、そこにあるのは家族愛であって恋情ではないのを、私は痛いほど分かっていた。
そんな気持ちでひき止められては、私はいつまで経っても潤を諦める事が出来ない。
伝える努力は、とうの昔に投げ出した。
だからヘタレな私は、逃げる努力をする事に決めたのだ。
潤の問いかけに曖昧に笑うと
「じゃ、午後の授業がんばってね」
そう言って潤に背を向けた。
すると
「めぐちゃん、何か俺に隠し事してない?」
核心に迫る言葉を掛けられ、思わず息を飲んでしまった。
昔から私の感情の機敏に敏感な潤だから、今の小さな動揺を感じ取ってしまったらしい。
呆れる様に小さくため息を吐かれた。
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