26人が本棚に入れています
本棚に追加
『めぐちゃん、めぐちゃん』
そうやって、甘い顔と甘い声で私を呼ぶから。
そんなのが、もう17年も続くから。
妙な感情に耐えられなくなる前に、自分の心にフタをした。
甘い空気が侵入しない様に。
邪な気持ちが漏れない様に。
彼は幼なじみ。弟みたいなもの。
彼が私を慕う純粋さを、私の不純な気持ちで汚すのが怖くなったんだ。
産まれた時から一番近くにいた存在だから、彼を消す事なんて出来なかった。
だったら、しまってしまえばいい。
頑丈に鍵を掛けて、何重にもくるんで。
奥深くにしまってしまえばいい。
そうやって無かった事にする事で、私は自分の気持ちをやり過ごそうとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!