自己完結

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『めぐちゃん、めぐちゃん』 そうやって、甘い顔と甘い声で私を呼ぶから。 そんなのが、もう17年も続くから。 妙な感情に耐えられなくなる前に、自分の心にフタをした。 甘い空気が侵入しない様に。 邪な気持ちが漏れない様に。 彼は幼なじみ。弟みたいなもの。 彼が私を慕う純粋さを、私の不純な気持ちで汚すのが怖くなったんだ。 産まれた時から一番近くにいた存在だから、彼を消す事なんて出来なかった。 だったら、しまってしまえばいい。 頑丈に鍵を掛けて、何重にもくるんで。 奥深くにしまってしまえばいい。 そうやって無かった事にする事で、私は自分の気持ちをやり過ごそうとしていた。
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