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「失礼します。桜井です」
職員室に入り名前を名乗ると、担任のゆっこちゃんが顔を上げて微笑んだ。
「おー、めぐ！ご飯の時に悪いね！」
「ううん、用事って何？」
ゆっこちゃんこと夏目由紀子先生は、35歳独身。
それについて触れるとめちゃめちゃ怒るので暗黙の了解で禁句だが、サバけた性格の美人なので学年問わず人気のある先生だ。
「大学側から課題が届いたから伝えとこうと思ってね。明日から自由登校になっちゃうし、早い方がいいでしょ？」
そう言いながら机の引き出しを開けるゆっこちゃん。
引き出しの中を覗き込むとバラバラのプリントやチョコレートの箱が雑然と入っていて、思わず
「片付けできないと結婚できないよ？」
などと禁句を溢してしまい『よ？』を言い終わる前に素早いフットワークでお尻を叩かれた。
女子高生のお尻を叩くなんてと口を尖らせて抗議しようとした時
「ぶっ」
ゆっこちゃんの向こう側から吹き出す声が聞こえた。
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