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男は私を見ると、眉間に皺を立てた。
だから、目の前の桜の感想を言ってみた。
すると男は驚いた顔をした。
それでもゆっくりと歩みを続け、私の前でとまった。
「てめぇ、異人か?」
思わず目を見開く。
会っていきなり私が異世界から来た事を見破ったのか?
私が返事をしないものだから、男はさらに眉間に皺を増やした。
「その着物、メリケンのもんだろ?そんなのは見たことねぇが。」
メリケン…?他国の事か…?なら私を他国の者と思ってる…?
「そんなとこです。」
慎重に曖昧に返事をする。
それが気に入らなかったようで、男は刀を掴む。
「怪しい奴だな。」
「よく言われます。」
男は私を挑発してくる。
だがそれに乗るわけがない。
私はむしろ彼の気を逆なでするため笑顔で答える。
彼の提灯を持つ方の手を見ると、風呂敷を持っていた。
大きさと形からするに本のようなものと、筆が入ってる。
「歌でも読むんですか?」
何気なく言うと、男は顔を赤くした。
「なんでそれを…?」
図星なようで、さっきまでの事を忘れて動揺していた。
「何となくです。そうだ、一つ私も歌を詠みますよ。」
「はっ?」
動揺していて、男はイマイチ状況が掴めていないようだったが、そのまま続けた。
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