木村 浩史

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「仁藤さん、結構人気あるよ」 俺が仁藤さんの顔をじっと見つめながら言うと、仁藤さんは顔を真っ赤にさせて首を横に振った。 「嘘でしょ?」 「嘘じゃないって」 「…木村くんだって、女子から優しいって評判なんだよ」 「まぁ俺、ほんとに優しいからなぁ」 「自分で言っちゃうの?」 仁藤さんはくすくす笑った。 ひとしきり笑ったあと、俺はポケットから携帯電話を取り出して、仁藤さんに言った。 「アドレス教えてくれる?」 仁藤さんは持っていたシャープペンをコトリと落とし、慌てて鞄から携帯電話を出した。 「は、はいっ」 そして俺に差し出したディスプレイには「受信中」の文字。 届け、アドレスと一緒に俺の気持ちも届いてくれよ。 なんてバカなことを考えながら、送信完了。 すると、ちょうど井上さんが教室に入ってきた。 「…何?あんたたちはそういう関係なの?」 「ちっ、ちがう!」 「俺らは学級委員としてだな、仲良くやろうなって言ってたんだよ!」 「ふーん。じゃあ、愛、帰ろっか」 「うん!じゃあね木村くん」 「じゃあまた。今晩、メールする」 「うん。またね」 そう言って、夕日をバックに微笑んだ仁藤さんはバカな俺でもわかるくらい、本当に綺麗だった。
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