本物の…

12/13
186人が本棚に入れています
本棚に追加
/315ページ
みんなが帰ったあと、春斗も真弓も疲れたのかすっかり夢の中。 ベッドへ入りながら誠に声を掛ける。 「ね、誠さん知ってたの?」 「帰ってくる途中で聞いた」 「そっか。なんだか忘れられない誕生日になった」 そう言って横になる春。ふわりと誠に抱き寄せられると誠の胸に顔を埋める。 「そうだな」 「ふふっ。幸せ」 そう言って嬉しそうに笑う春。 「春、俺さ」 「ん?」 じっと誠を見つめると困ったような表情を浮かべる。 「どうしたの?」 じっと見つめながら聞くと照れたような困った表情をする。 「・・・プレゼント。。。今度の休みに買いに行かないか?」 そう言われ思わず吹き出してしまう。 「ふふっ。誠さんも忘れてたのね」 「・・・」 「ここのところ忙しかったから。仕方ないよ。当人が忘れてるんだから」 そう言って笑うと強く抱きしめられる。 「本人忘れてても夫は忘れちゃダメだろ」 「ふふっ。忘れてたのね」 「うっ・・・」 「プレゼントなんていいの。こうやって毎日顔が見れて、毎日名前を呼んでくれて。毎晩こうして腕の中で眠りに付く。それだけで十分幸せ」 そう言うとそっと唇が重なる。 「・・・欲がないな」 「あら、欲張りだよ?だって毎日誠さん独占してるんだから。これ以上の欲張りはないよ」 そう言って笑う春。
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!