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桃太郎は聡明叡知(そうめいえいち)にして、聖人の如くすくすくと育つ。
神の島で100年に1人の天才と呼ばれ、名門九州府大学に現役合格を果たす。
小学生から駐在所の警察官が指導する剣道教室に通い、中学・高校、そして大学でも剣道部主将を務めた。
勿論、勉強は島で常に一番。九州府大学も首席で卒業する。
そして、神の島で駐在さんが教える剣道教室に通った縁も手伝って、博多県警察を受験し警察官を拝命。
拝命後は、各階級の昇任試験をスーパー・カー並みのスピードで突破し、叩き上げ警察官としては史上最年少の若さで、警視に登りつめた。
しかしながら、聡明な桃太郎警視にも悩みがある。
産毛に覆われて出生した遺伝子が極めて強力だったのだ。
小学生にして髭を剃り始め、今では、朝・昼・夜と電気髭剃りの世話になる。
髭剃りを数時間おきにしないと口の回りが青々となり、警察官でありながら泥棒顔に変貌する桃太郎。
また、出生の“島伝説”を知らぬ警察同期生が桃太郎につけた通り名は、その体毛から“狼男”であった。
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