初めての街に到着した。

6/8
前へ
/127ページ
次へ
   俺の魔力の色は、暗い紫紺色だ。魔力が覚醒したばかりの時は気がつかなかったが、水面でよく自分の瞳の色を見ると、暗い紫がかった紺色に変化していた。  なんだこれはと彼を問い詰めると、じっと俺の瞳を覗きこんだ彼が教えてくれた。どうやら、魔力色変、と呼ばれる現象らしい。  彼の髪色も、これによるものだという。魔力色変は、魔力の色に髪や瞳の色が変化する現象だそうだ。  これと似た名前の現象に、属性色変というものがある。こちらは、魔力が属性の色に似ること、らしい。  暗い紫紺色に変色した可憐な花に、思わず顔をしかめる。色が絵柄に合わない。彼の綺麗な花が羨ましいほどに。  俺の札が色づいたのを見て、彼は視線を門番に戻した。一言二言交わすと、彼は再びこちらを見る。 「行くよ」 「あぁ」  彼の後を追うように、俺は門の向こうへと足を踏み出した。 .
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6263人が本棚に入れています
本棚に追加