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眩しい日差し、鳥の囀ずり、虫の音。川のせせらぎ、草木の葉のざわめき、獣の嘶き。
湿っぽい匂いに、青臭い匂い。甘い良い匂いも混じっている。
右半身に感じる感触は少し柔らかい。
──俺は、ゆっくりと目を開けた。
目の前には緑色の何か。横を向いて寝ていた身体を、手をついて起こす。
見えた景色は、だだっ広い草原。繁る草本類に時折混じるのは、小さな野の花の黄や青や赤。
見上げた空には綿あめのような積雲と、燦々と照る太陽に『二つ』の月。
「………………え?」
地球上では絶対におかしいであろう、そう、あり得ないものを見てしまった俺は、そのまましばらくの間硬直していた。
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