契約
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「サヨウナラ」 苛立ちを隠すこともせず、踵を返せば。 「南、」 やけに通るその声に、思わず足が止まる。 けれど、振り返るほどの義理はないのでそちらは向かない。 「これは契約だ」 無駄に甘いロートーンが鼓膜を揺らした。 ケイヤク。何となくお金の匂いを捕らえた私は、惨めで意地汚い女だ。 そんなの、自覚はある。十分に。
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