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ここはアクレル最大の酒場「エターナル・グローリー」。
最大といっても、今は昼。客は一人もいない。
一見ただの広い酒場のようだが、カウンター近くに紙の貼られた掲示板が設置されている。この掲示板は回ってきた仕事の依頼を載せるもので、貼られている紙は仕事の概要や報酬・依頼人の名前や依頼人の所在地が書かれている依頼書だ。つまり、この酒場はギルド……冒険者ギルドの一つである。
ギィ……と、扉が軋む音がした。
「……お? 誰か来たな」
ギルドカウンターの奥に立っていた金髪の青年が、入り口の扉を見ながら呟く。ギルドの長……ギルドマスターだ。二体の人影が扉を開けて入ってきた。その正体は、ザッシュとリフィアである。
「いらっしゃい、何の用だい? こんな真っ昼間から呑みに来たってわけでもなさそうだな。お二人さん、“加入希望者”かい?」
「ああ、ギルドに入るにはどうすればいい?」
「もしかして、入団試験とか……あるんですか?」
二人は小さく頷いてから、ギルドマスターに尋ねる。
「入団試験? さあ、どうだろうな。まあとりあえずそこの申込書に名前と年齢、あと特技書いてくれ」
ギルドマスターは自分の横にある紙の束を指差して言う。
「「特技?」」
ギルドマスターの言葉に、ザッシュとリフィアは口を揃えて聞き返した。
「おお、同時に言ったな。ああ、剣術とか魔法とか自分の得意な技能だよ」
「なるほどな……」
「分かりました」
二人は頷いて、紙を一枚取り申込書の空欄を埋めてゆく。
「書けたか?」
暫くして、ギルドマスターが二人の申込書を覗き込むようにして尋ねる。
「俺は書けたけどよ……なんで覗こうとしてんだ、あんたは」
「だってよぉ、気になるだろ」
「気持ちは分かりますが……あ、私も書けましたよ」
覗き込もうとするギルドマスターに苦笑しながら、二人は申込書を手渡した。
「ふむ……“ザッシュ・バスタード”18歳、特技は魔法と体術。“リフィア・ヴァレステッド”17歳、特技は魔法に剣術か……」
ギルドマスターは何かを考え込んだように、二人の申込書を交互に見つめた。
「これを見る限りだと、二人ともなかなか使えそうだな……とりあえず採用!」
ギルドマスターは二人の申込書に“Approved(承認した)”と判を押した。
「ってことは……」
「試験はないんですね?」
ザッシュが言い掛けたことを、リフィアが代わりに言った。
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