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「つーか、明日の何時から始めるんだよ」
ザッシュが思い出したようにギルドマスターに尋ねる。
「あっ、確かに……」
ザッシュの言葉をきっかけにリフィアも思い出したようだ。
「特に具体的な開始時刻は決まってない。お前たち二人が来たところで開始だ」
「つまり、俺たちが来たその時点で始めるってことか」
「そういうことですか」
「ああ、そういうことだ」
ギルドマスターは小さく頷いて、ザッシュとリフィアの言葉を肯定した。
「よし、じゃあ今日のところは帰るわ」
「なら……私も帰ります」
「おう、じゃあな。そんじゃ明日また来てくれ」
ギルドマスターの言葉に二人は頷き、ギルドを後にした。
――帰りの道中
「そう言えばさ、なんで剣忘れたんだ?」
「なんでと言われても返答に困りますが……強いて言えば“どこにしまったか忘れた”からですね。出かけてしばらくしてから思い出しました」
「そうか……特技は魔法と剣術だっけ? 魔法は何が使えるんだ?」
「それってギルドマスターが聞くことなんじゃ……私は火と水、あと風と土、つまり“四大元素魔法”が使えます。それと氷属性も少々……」
ザッシュの問いに、リフィアが苦笑しながらも答える。
魔法の“属性”には火・水・風・土・氷・雷・光・闇がある。
その内の“火属性・水属性・風属性・土属性”はこの世を構成すると言われる四つの要素“四大元素”から、“四大元素魔法”と総称されている。
「ザッシュさんは? あの時使ってた魔法ってアクア・ショットだけですよね? 少なくとも水属性が使えるのはわかりますけど」
今度は逆にリフィアがザッシュに尋ねてきた。
「俺は基本的に光と闇以外は全部使える。まあ得意苦手はあるけどな」
「凄いですね……何故光と闇は使えないんですか?」
「まだ習ってない」
“何故光属性と闇属性は使えないのか”とのリフィアの問いにザッシュは短く答えた。
「ま、習ったところで習得できるかはわからんが」
「私は、ザッシュさんなら習得できると思います」
ザッシュの言葉に、リフィアは率直な感想を述べる。
「そうかい、ありがとよ」
ザッシュは簡潔な感謝の言葉を発する。
二人が歩いている途中で道が左右に分かれた。
「あっ……俺左だわ。じゃあな」
「私は右ですね。さようなら、また明日ギルドで」
そう言って、二人は別れた。
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