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夕暮れ、千園(ちかほ)は兄・千栄(ちはや)を待っていた。
制服姿、ベンチに座って小さめの鼻歌を歌っていた。
そこに、千栄(ちはや)の大親友で千園(ちかほ)の先輩の俺が、知らぬ顔で来る。
「新田先輩! 」
千園は少し明るい声を発した。
俺と千栄は中学からの付き合い。高校は別々だが、妹が俺の後輩。
入学式とき、千栄と同じ苗字が呼ばれたから時々聞く妹のことだとすぐ気付いた。
「よっ、千園ちゃん」
いつもの調子で声をかける。
割りきりというのか、制御した言い方。
「兄ちゃんなら今日は違うよ。」
千園が兄思いのため、いつものようにベンチに座って兄を待っていることくらい読めた。
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