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「…わーかったって。」
振り向いて俺を潤んだ目で睨んでくる真衣に負け、腕を引っ込める。
「どっか食いに行くか?」
帰る準備をして、保健室を出ようとする真衣に問い掛けた。
すると、さっきまで堅かった表情が一気に和らいで、ぱあぁぁっと明るくなった。
「おごってくれるの!?」
キラキラしているその瞳に、
「しゃーねぇな。」
と答えると、
「ほんとっ!?やったあ!!」
と言って、抱きついてきた。
「ったく…」
可愛すぎ。
その行動、他の男にすんじゃねぇぞ。
と、心の中で警告。
そんな警告は届くはずも無く、真衣ははしゃぎっぱなし。
「早く行こ行こっ!!」
と言い、制服の裾をグイグイひっぱる。
「真衣」
「ん?何っ?」
振り向いた真衣の唇に、
「メシ代。」
と言って、甘く噛み付いた。
「…はっ!!?」
驚きを隠せないでいる真衣を置いて、スタスタと歩きだした。
「ちょっ…待ってよぉ!?」
そう言って小走りで俺の後に付いてくる真衣が、堪らなく可愛くて、理性を押さえるのがやっとだった。
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