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誠は、結構、早めの時間に解放してくれた。
家に帰り着いた俺は、浩史に、電話した。
「…あっ、浩史。…翔太だけど。」
「よう!…この前は、どうも、ごちそうさま。
その後、どうだい?」
「うん、ぼちぼちかな。
あのさ、そのことで、ちょっと、教えて欲しいんだ。
浩史はさ、その…指輪どうしたんだ?」
「指輪?…それって、結婚指輪のこと?」
「…それもあるけど。」
「じゃあ…婚約指輪?」
「うん…。」
「待て。…もしかして、なんも、準備してないとか、考えてなかったとか、言わない…。」
「…実は…そうなんだ…面目ない…。
それで、経験者に、聞くのがいいかなって…。」
「………はぁ~。」
すごく間があって、溜め息が、聞こえた。
「…俺は、気が休まる間がないのか…どいつも、こいつも…。」
「…なんかあったのか?」
「ああ…ごめん。この間から、弟の新の結婚のことで、ちょっと、ごたごたしてたから…ついな。」
「いや…俺こそ、悪い…つまんないことで、煩わして…。」
「翔太、謝んないでくれよ…ごめん、本当。
愚痴を、ちょっと、こぼしたかっただけなんだ…本当に…ごめんな。
婚約指輪のことだよな、聞きたいことって。」
「ああ、そう。…浩史は、いつ、智世さんに、渡したの?」
「う~ん、申し訳ないけど、翔太が、納得できるような、答は、たぶん出来ないよ…。
プロポーズする時とか、結納する時とかに、本来、渡すもんなんだろうけど…。
俺さ、智世に、そんな形じゃ、渡してないんだ…。
プロポーズは、場所も、シュチエーションも、考えて、きちんとセッティングした上でしたかったのにさ…洋祐先輩の結婚式の帰り道に、成り行きで、しちゃったからな…。
両方の親に、了承得ない内に、籍入れたから、結納もしてねぇしな…。
まあ、あえて言うなら、プロポーズした後のX'masプレゼントに、指輪を買ってやったのが、そうかな。」
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