指輪

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「…沙也加、降りるよ。」 「…えっ?…まだ、新宿…。」 「いいんだよ、ここで。」 沙也加の手を握って、改札へ向かう。 「…途中下車、完了。」 「もう…。どうしたのよ…翔太。 予定にないこと、いきなりは、なしよ…。」 「ごめん、ごめん。 夕飯の前に、ちょっと、寄り道。」 「寄り道って…どこに行くの?」 「うん…良いところ。」 俺は、昨日、浩史に送ってもらった地図を、呼び出して、場所を確認する。 「よし。行くよ、沙也加。」 夕方の新宿は、相変わらずの人混みだ。 その中を掻き分けて、地図の示していた方へ、進んでいく。 「…ねぇ、どこまで行くの?」 「もうちょっと、向こうだよ。…ここの外れの方。」 「あった。ここだ!」 教えてもらった通り、星の飾りがついた看板があった。 「…ミルキーウェイ?」 扉を開けて入ると、優しそうな女性が、店番をしていた。 「いらっしゃいませ。」 「あのう、神谷さんですか?」 「…そうだけど。君は?」 「俺は、斎藤翔太といいます。…森本浩史に、ここを、教えてもらったんです。 あのう、指輪…作って欲しくて。」 「浩史君のお友達なんだ。…わざわざ、足を運んでもらって、ありがとう。 私は、神谷一葉よ。 なんの指輪を作るのかしら?」 「彼女とペアの指輪を…婚約指輪なんです。」 「まあ!…それは、おめでとう! 待っていて、内の人呼んで来るから。」 奥への入り口から、一葉さんは、呼び掛けた。 「蓮!…オーダーの新規のお客様よ!」
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