指輪

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「…おつかれさま~」 「じゃあ、また、月曜にね…。」 帰り支度のすんだ者から、ロッカーを閉めて、出口へ向かう。 開けた扉の向こう側に、いたのは…。 「吉野さ~ん!外で、王子様と騎士様が、お待ちになってるわよ!」 はい?! 一瞬、沙也加の頭が、真っ白になって、思考が停止する…。 バックと、荷物の入った紙袋を手に、急いで、更衣室を出ると、そこには、出てきた女の子達に、囲まれて、翔太と誠がいた。 「…斎藤君、婚約おめでとう。」 「上手くやったわね…。」 なんて、翔太が、いじられてるのを、誠は、面白そうに眺めている。 「…なんで、二人で待ってんのよ。」 「翔太が、寂しそうに、待ってたから、慰めてやってたんだよ。」 誠は、真顔で言うが、目は、思い切り笑ってる。 完全に、翔太は、遊ばれてるなぁ…。 「嘘だよ。沙也加!…誠のやつ、ノブの店、教えてって言うからさ…。」 「はいはい、渋谷まで、大野君を、案内すればいいんでしょ。」 「おう!沙也加さん、さすが、翔太とは、ツーカーだな。」 大野君の言うことは、スルーして、さっき、私を呼んだ子に、聞いた。 「ねぇ、王子様と騎士様って、何?」 「あははは…例えよ。例え。 吉野さんが、姫なら、斎藤君は、王子。…それで、二人を護る騎士が、大野君。 ね、いい例えでしょ。」 私は、笑うしかなかった。
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