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「えっ!…猫かぶってたの?」
「…誰でも、そうなんじゃないの?
沙也加さんだって、会社の中じゃ、それなりに、仕事出来ますって顔するだろ?
俺や、翔太なんて、お客様に対して、内の取り扱う製品のよさを、アピールするのと同時に、自分もアピールしなきゃならないんだぜ…。
お宅の担当者は、こんなにも優秀ですからってね。
だから、多少どころか、たっぷりと、何重にも、猫かぶってるよ。」
「…翔太…そうなの?」
「まあ、仕事に関しては、そうだけど、沙也加に、猫かぶる必要は、ないだろ?
ありのままの自分みてもらわないと、意味ないじゃない。
それはさ、親友に対しても、同じだから、誠は、もちろんだけど、浩史達にも、ありのままを、見せてるよ、俺は。」
「…ありのままの自分か。
うん、そうだね。…私も、飾らない自分を、見て欲しいな。やっぱり。」
そうこうしている内に、渋谷駅に着いた…。
渋谷の駅前には、新しいビルが出来て、感じが少しかわったが、そこから、ちょっと行くと、昔から…と、いっても、高々、三、四十年だが…そこに老舗の風格を醸し出す店が、いくつも点在している。
新しいものと古いものが、微妙に混じる街の中、信章の店は、割と目立つ場所にあった。
覗いてみると、椅子は、全部、埋まっていた。
チリンチリン♪
「いらっしゃいませ。」
品の良さそうな女性が、来店の挨拶をしてくれた。
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