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「おばさん、ご無沙汰してます。斎藤です。」
「あら、翔太君なの?!
まあ、少し見ない間に、立派になって。」
「そんなことないですよ。あの…こいつ、俺の同僚で、大野って言います。
ここ、教えて欲しいって、言うんで、直接、連れてきました。」
「…はじめまして、大野です。
野上君とは、この前、意気投合しまして、店に、是非にって言われたんで、今日は、カットを、お願いしようかなって。」
「まあ、ありがとう。
信章、今、お客様に付いてるから、少し待っていただいても、いいかしら?」
「はい、いくらでも。」
「翔太君、こちらのお嬢さんは?」
「俺の婚約者なんです。」
照れながら、沙也加を紹介すると、信章のお母さんは、にっこり笑いながら、
「おめでとう、翔太君。」
と、言ってくれた。
10分ぐらいすると、信章が、対応していたお客さんのカットが終わって、こっちへ来た。
「…お待たせしました。」
「野上君、お言葉に甘えて、越させてもらったよ。
カットを、頼んでいいかな?」
「それは、もう喜んで。
翔太は、どうするの?」
「…今日は、誠を、案内してきただけだよ。
沙也加もいるから、今日は、帰るよ。」
「そりゃあ、残念。
沙也加さん、髪、だいぶ伸びたね…。
あれから、一度も、ハサミ入れてないでしょ?
襟足の長さ、揃えた方がいいから、今度、時間ある時に、おいでよ。」
「はい、ありがとうございます。」
沙也加は、いつかの髪切り事件で短くなった髪を、また、伸ばしはじめていた。
「それじゃ、また、月曜な、誠。」
「ああ、またな、翔太。」
翔太と誠は、約束通り、ここで、別れた。
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