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誠と別れた後、俺と沙也加は、週末の夜を楽しんでいた。
駅前に戻って、新しいビルに入って、ちょっと探検。
沙也加は、雑貨の店を見つけて、中へ入っていく。
「ねぇ、見て、これ可愛い♪」
ありふれたティーカップだけど、沙也加と二人で、みていると、まるで、ブランド物みたいに見える。
「この花が、アクセントになってるのな。…買うか?」
「いいの?」
「いいよ。買ってやる。」
「嬉しい♪」
俺は、沙也加の選んだカップを二つと、それに合う、ソーサー、ついでに、家のティーサーバーが、壊れかけてるから、そいつも、買う。
「これで、美味い紅茶、煎れてくれよ♪」
「ご期待に添えるよう、頑張ります。」
敬礼もどきで、答える沙也加は、可愛いかった。
沙也加の左手は、自分の荷物があったから、俺は、自分の左手を、伸ばして、沙也加の右手を握る。
右手のカップとか入った紙袋を見て、沙也加は、重くないかと、聞いてくる。
「全然、重くなんてないよ…。
それに、これでも、俺は、男だよ。
これくらいの荷物、平気、平気。
それより、この後は、どうしようか?」
「うん…夕飯…今日は、和食の気分かな。」
「えっ…ティーカップ買ったのに?」
「ティーカップとは、関係ないわよ。食べたいものとは。
…私、美味しいお刺身食べたいの。いいお店知ってる?」
「任せろよ、美味い店なら、いっぱい知ってるよ。」
にっこり笑って、俺は、こっちだよと、沙也加を誘った…。
そんな、二人の指に、ショーウインドーのライトが当たり、煌めいていた。
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