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「…玄関からすぐの部屋と次の部屋を、一つにして欲しいんです。
…ここは、キッチンからのリビングダイニングに。」
「日当たりが、いいですね。」
「それは、自慢なんです。
縁側を残すことは、出来ますか?」
「…ふうん…サンルームに変えても構いませんかね?」
「そうですね…それなら、ウッドデッキ風で、お願いします。」
柱や何かを覗き込んでいた、棟梁は、うんうんと、頷きながら、一つ一つ、見て回っていた。
師走の忙しい時に、申し訳ないとは、思ったが、年明けからの予定を、いろいろ考えたら、年内に、段取りだけでも、しておくべきだと、リフォームのための下見に、工務店の棟梁に、来てもらっていた。
俺が、家を、結婚前に、リフォームしたいと言ったら、浩史が、この工務店を、紹介してくれた。
夏に、中古で買った、浩史の新居を、リフォームしてくれた工務店は、いい仕事をするそうで、評判もいいんだそうだ。
「この奥の部屋も、フローリングに変えてください。」
「おや、立派なウオーク・イン・クローゼットですなぁ。これは、どうされますか?」
「残せますか?」
「潤一、どうだ?」
「増築した時に、補強を兼ねて、ここ作ったみたいだから、残した方がいいね。
収納棚に、手を入れさえすれば、今のより、よくなりますよ。」
この潤一さんて、言うのは、棟梁の息子さんで、一級建築士。設計は、この資格のある人じゃないと、ダメなんだ。
「斎藤さん、2階上がらせてもらいますね。」
「あっ、お願いします。」
俺は、二人の後から、階段を上っていった。
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