宝探し…

2/12
前へ
/533ページ
次へ
「…玄関からすぐの部屋と次の部屋を、一つにして欲しいんです。 …ここは、キッチンからのリビングダイニングに。」 「日当たりが、いいですね。」 「それは、自慢なんです。 縁側を残すことは、出来ますか?」 「…ふうん…サンルームに変えても構いませんかね?」 「そうですね…それなら、ウッドデッキ風で、お願いします。」 柱や何かを覗き込んでいた、棟梁は、うんうんと、頷きながら、一つ一つ、見て回っていた。 師走の忙しい時に、申し訳ないとは、思ったが、年明けからの予定を、いろいろ考えたら、年内に、段取りだけでも、しておくべきだと、リフォームのための下見に、工務店の棟梁に、来てもらっていた。 俺が、家を、結婚前に、リフォームしたいと言ったら、浩史が、この工務店を、紹介してくれた。 夏に、中古で買った、浩史の新居を、リフォームしてくれた工務店は、いい仕事をするそうで、評判もいいんだそうだ。 「この奥の部屋も、フローリングに変えてください。」 「おや、立派なウオーク・イン・クローゼットですなぁ。これは、どうされますか?」 「残せますか?」 「潤一、どうだ?」 「増築した時に、補強を兼ねて、ここ作ったみたいだから、残した方がいいね。 収納棚に、手を入れさえすれば、今のより、よくなりますよ。」 この潤一さんて、言うのは、棟梁の息子さんで、一級建築士。設計は、この資格のある人じゃないと、ダメなんだ。 「斎藤さん、2階上がらせてもらいますね。」 「あっ、お願いします。」 俺は、二人の後から、階段を上っていった。
/533ページ

最初のコメントを投稿しよう!

439人が本棚に入れています
本棚に追加