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「それで、…山本…さんには、話した…訳?」
「うん…祥子さんは、ちゃんと空気読める人だから…大丈夫だよ。」
「まあ…、確かに…。山本さんは…悪い子じゃ…ないよね。」
大きな口を開けて、ボリューム満点のハンバーガーを、パクついている俺は、どうしても、会話が、途切れ途切れになるが、沙也加は、黙って聞いてくれている。
「…すごい食欲ね。」
バーガーを攻略したから、次は、Lサイズのポテト。
「…仕方ないだろ…腹減ってんだから…。
この後、帰ったら、片付けも、始めなきゃいけないんだぞ。
そう言う、沙也加は、少食だな。」
「ええっ?!…これのどこが、少食なの?
私が頼んだバーガーのセットは、ごく普通のサイズだよ。
女の子は、この量でも、結構、残すのよ。全部、食べられないって…。
…私は、食べられるけどね。」
「悪い…普段は、野郎としか、いかないからな…。
沙也加といると、いろいろ、勉強になる…。」
「役立ってるのかな、私は?」
「おお!それは、もう!」
「なら、よかった♪」
沙也加は、手にしていたポテトを、自分の口に放り込んで、美味しいと言って、笑い掛けてくれた。
「腹も膨れたし、俺達、これから、やることが、山積みだ。
さて、我が家へ帰るか、沙也加。」
「はい♪」
さっきより、もっと輝く笑顔で、返事をする沙也加に、翔太は、キョトンとしていた。
沙也加は、嬉しかったのだ。本当に。
我が家へ帰る…。
あの家で、自分は、もう、家族の一人として含まれている。
そう思うだけで、胸が、熱くなった。
そう…あの場所は、もう、沙也加の場所のひとつに、なっていたのだ…。
「翔太、帰ろう。私達の家に!」
そう言われて、翔太も、あの笑顔の意味を、理解した。
「うん、帰ろう!」
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