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「…じゃあ、簡単にすむ所からやろうか。」
そういって、庭の片隅にある、小さな倉庫から、段ボール箱とか、ブルーシートとか、おっきなゴミ袋とか、少しずつ買って、用意していたみたいで、翔太は、持ってきた。
「まずは、玄関な。
俺、自分のは、こっちの空いてる靴箱に入れるから。
沙也加は、とりあえず女物と、明らかに、俺のじゃなさそうなやつを、袋に入れてって。」
「女物って、お母さんの?」
「うん、履けそうなのあるか?…もし、サイズ合うなら、履いてもいいよ。
そうでないなら、捨てて、俺は、使えないから…。」
そうだよね…まず、翔太には、女物じゃ、サイズあわないし…。
まず、女物だけを、ピックアップ。
綺麗なパンプスや、ローファーが、あったけど、残念ながら、サイズがあわない…。
「…下駄。」
これは、さっきのより、サイズが、大きそう。
靴下を脱いで、足に、履いてみる…。
…夏祭り…浴衣で、翔太と、いけるかな…。
そっと、横に避けて、靴下を履く。
後は、処分用のゴミ袋行きになった。
男物は、どうやら、お父さんのと、混じっているみたい。
「…これは、翔太の?」
「いや…父さんのだ…捨てて。」
そう言って、あんまり、気持ちを込めないで、あっさりと捨てていく。
小一時間で、片付けられた玄関は、すっきり過ぎるくらい。
「ふう…。ちょっと、休憩しようか?」
「じゃあ、お茶煎れてくるね。」
もう、どこに何があるかを覚えたキッチンで、お茶を煎れて持っていくと、美味しそうに飲んでくれる。
「会社でも、いつも思ってるんだけど、沙也加のお茶は、美味しい。」
お茶一杯で、こんなに、喜んでくれるんだから、いくらでも、煎れてあげるわ。
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