宝探し…

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少し片付けては、休憩を、繰り返す。 振り子時計の針が、12時を打つ頃、玄関から、二つめの部屋までは、大まか片付いた。 「疲れた…やっぱり、もっと早くから、片付けやっとけば、よかった…。」 「まだ、一日目だよ。しっかりしてよ。」 「…わかってるって…。」 「お風呂、用意しておいたから…。」 「さすが!沙也加!…気が利くなぁ…。」 「先にどうぞ…。」 「あのさ…沙也加…。」 「なあに?」 「…いや、いいわ。」 私は、首を傾げながら、明日のお弁当の準備を始めた。 後で、思えば、『一緒に、入ろうか?』って、言いたかったのかも…。 だけど、少し奥手で、変な所で、鈍感な私は、気づかなかったのだ…。 「…ああ、さっぱりした。沙也加も、冷めちゃわないうちに、入れよ。」 「うん、もう終わる…。」 「…奥の部屋に、布団用意するな。」 「…翔太…私は、一人で寝るの?」 翔太は、少し悩んで、聞いてきた…。 「…俺と、一緒に寝るか?」 「うん…翔太と一緒が、いいな。」 「わかった…じゃあ、風呂上がったら、2階に来いよ。 …しかし、参ったな…。」 何が、参ったなのかな? 私は、深く考えないで、また、首を傾げる。 体を洗い、湯舟で、温まりながら、フッと、気付く…ああ、私ったら…すごく大胆なこと、言ってる…。 気付いたら、すごく恥ずかしくなった…。 ぷくぷくぷく…。 湯舟に、沈みながら、真っ赤になった頬と、ドキドキを、どうしようと、本気で悩んでしまった…。
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