宝探し…

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コンコンコン… 「…入れよ。」 怖ず怖ずと、私は、翔太の部屋に、一歩踏み入れた。 綺麗に整理された部屋の片隅に、ベッドが、置かれている。 翔太は、そこに、腰掛けていた。 「…どうしたの?」 「うん…お邪魔します。」 「あははは…お邪魔って、今更だな…。」 「もう!…これでも、ちょっと、反省してるんだから…。 翔太、気を使ってくれたのに…気付いてなくて…ごめんなさい。 でもね…やっぱり、下で、一人は、嫌だ…。寂しいよ…。」 「そうだよね。まだ、慣れてない場所で、一人だもんね。 …よく考えたら、下に、俺も寝れば、よかったんだよね。 ほら…いつまでも、立ってないで、こっちおいでよ。」 そう言ってから、優しい笑顔で、手招きする。 隣に、腰掛けると、ギュッと抱きしめられた。 「…すげぇ…いい匂い…。」 髪に、顔を埋め、翔太が、耳元で、囁く。 頬が、紅くなってる…絶対に…。 「…ベッドさ、一人用だから、狭いんだ。 …落ちないように、奥に寝ろよ。」 「…うん。」 小さく頷いて、私は、奥に横になった。 「大丈夫…寝られそう?」 「ごめんなさい…我が儘、言って…。窮屈だよね?」 「…これは、これで、いいよ。…沙也加を、すごく近くに感じながら、眠れるんだから。 あのさ…腕枕してやるから、抱きしめて、寝ても、いいかな?」 私は、自分から、抱き着いて、言ったの…。 「…私より先に、私が、して欲しいこと、言わないの…バカ太ね、本当に。」 いつもより、少し早い翔太の鼓動を子守唄に、私は、眠りについた…。
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