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【…補聴器ないと、ダメなの?】
「…まったく聞こえない訳じゃないんです。
でも、毎年、どんどん、聞こえなくなってきて…。
今は、補聴器ないと、周りが、よくわからなくて…。
だから、大野さんみたいに、ゆっくり何度も、話してくれたり、今みたいに、メール画面とかで、対応してもらえると、すごく助かります。」
【よかった。俺の対応、間違ってなかったんだね、ちょっと、ホッとした。】
「…そんな風に、初対面で、素早く対応してくれてる人、滅多に、会えないです。本当に…。」
【あのさ、補聴器、売ってる場所、わかる?】
「…はい、わかりますけど…。
あの…もしかして…。
そんなのダメですよ!
…見ず知らずの方に、そこまでしてもらっては…。」
【…確かに、見ず知らずだけど、一緒に探してた訳だし、一蓮托生だよ。
今、君に、必要なんだから、買わなきゃ…。
第一、そのまま、帰れないでしょ?
お母さんに、何て言うの?さっきの君の姿を見ていたら、まっすぐに、帰せないよ。
いい、一緒に、買いに行こう。代金は、俺が、とりあえず、払うよ。
でも、俺は、あくまでも、持ち合わせのない、君に、代わって、お金を、立て替えるだけだからね。
後で、ちゃんと、返してくれれたらいいよ。】
「…でも…。」
【運命感じてるんだ、俺、君に…。】
「…えっ?」
【…この後…君と、さよならって、別れても構わないんだけど。
…そうしたくないんだ。
また、君に会う…、口実が、欲しいんだよ…。
ダメかなぁ…。やっぱり…狡いよね…俺のやり方。】
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