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「…泣くな…可愛い顔が、台なしになる…。」
「…でもぉ…止まんないんだもん…。」
ギュッと抱きしめて、俺は、彼女が、ちゃんと、聞き取れるように、耳元で、優しく、ハッキリと、こう言った。
「…いきなり、驚かすようなことして、ごめんね。
…だけど、君を見たとき、胸がね、キュンとしたんだ。
…こんな気持ち、本当に、久しぶりなんだ。
…昔、心の底から、好きだって思った女の子に、初めて会った時と、同じなんだ。
…ねぇ、俺達、絶対、見えないなんかで、繋がってるよ。
…今日、出会えたのも、運命だよ。
…だから、もう一度、いいかな?
…君に惚れました。付き合って、もらえませんか?」
「…私と…本当に、付き合ってくれるんですか?
…私…この耳のせいで、あなたに、迷惑掛けるかもしれない。
…いつ、聞こえなくなるか、わからない。
…それでも、いいの?」
「…どうするかなんて、その時にならないと、わからないよ。
…それに、君の耳が、聞こえなくなるなら、俺が、代わりに聞いてやる。
…それじゃ、ダメか?」
「…そんな優しい言葉、男の人に、掛けられたことないよ…。
大野さんなら…信じられる気がする…。」
「じゃあ、OKなんだね?」
腕の中で、彼女は、頷いてくれた。
「…ありがとう。」
俺は、彼女に向かって、微笑み掛けた。
彼女は、涙を拭って、笑い返してくれた。
彼女の微笑みは、まるで天使の様に、優しい笑みだった。
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