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どうしようかと、眞知子が、逡巡している間に、相手に、先手を取られてしまった。
「こんばんは。はじめまして、俺、大野誠と言います。
真琴ちゃんと、この度、お付き合いさせて、いただくことになりました。
ふつつか者ですが、よろしく、お願いします!」
ぷふっ…
思わず、笑ってしまった。
「お母さん!なんで、笑うのよ!」
「…ごめんなさい…だって、ふつつか者なんて、花嫁が、嫁ぐ時に、言うものよ…。面白い人ね。」
笑いが、少し治まった頃合いに、香山が、合いの手を、入れてくれた。
「眞知子さん、立ち話もなんだから、一緒に、お茶にすれば?
真琴ちゃんは、どうかな?…ダメ?」
「…香山さんが、そう言うなら…。大野さん、いいかな?」
「俺は、真琴ちゃんが、よければ、お供するよ。
ところで…この人、誰?」
「自己紹介が、遅れました。私は、香山英樹、真琴ちゃんのお父さん候補です。
眞知子さんに、なかなか、正式採用してもらえなくてね。」
「いえ、こちらこそ、よろしくお願いします。」
数分後、私達は、喫茶店で、まるで、お見合いでもしているみたいに、向かいあって、座っていた。
この大野誠という青年は、とても誠実そうに見えた。
「これ、俺の名刺です。
どんな男かは、この先、見てもらわないと、わからないと思うんで、とりあえず、どこの誰か、わかるものをお渡しします。
俺が、信用ならないって、思われたら、それで、名前出して身辺調査してもらっても、全然、構いませんから。」
【角紅商事 第一営業部 企画・営業 大野誠】
「角紅なんて、一流企業じゃないか…。すごいね、商社マンなんだ。」
「いえ…まだまだ、ひよっ子なんで。」
照れる辺り、好感度大ね。
真琴が、変な男に、引っ掛かったんじゃないって、わかって、よかった…。
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