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近藤さんは、都内のとある会社に勤めている、ごく普通のサラリーマン。
年相応に、仕事にも、恋愛にも、全力投球している青年だ。
付き合っている彼女とは、上手くいっていた。
ごく自然な流れで、結婚話が出て、プロポーズも成功した。
彼の友人の紹介で、内の店に、ブライダルの相談に来たのが、この夏の終わりだった…。
その時の彼は、すごく嬉しそうで、笑顔が、羨ましいくらいだったのに…。
「…僕、騙されていたんです…彼女に…。」
「…騙されてたって、確かめたんですか?」
「…僕は、あまりにも、上手く事が、運んだことで、周りが、見えなくなっていたんです。
彼女が、まさか、詐欺師だなんて…考えもしなかった…。
結婚の約束した相手が、僕を入れて、5人もいたんですよ…。
たまたま、彼女のやってることに、気付いた一人が、警察に通報して、逮捕されたんです。
ニュースで、やっていたらしくて、彼女の顔を知っていた、僕の友人から、連絡あって…初めて、知ったんです…。
僕は、信じられなくて…もしかしたら、僕だけはって…そう信じたかった…なのに…。」
また、彼は、ぽたぽたと、涙を落とし始めた…。
私は、なんと言っていいか、よくわからなかった。
「…わかりました…キャンセルの手続きをしましよう。」
私は、この空気に耐えられなくなって、そう言うと、気持ちを切り換えて、近藤さんの契約書や、プランニングをまとめたファイルを探すために、立ち上がった。
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