捨てられた仔犬の様な…

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本来なら、お式まで、2ヶ月切っていたから、キャンセル料金が、発生するケースなんだろうけど…私は、請求することが、できなかった。 だって、これは、近藤さんの責任じゃないもの…。 甘いって、社長に、怒られるかな…。 そんな私の微妙な表情を、感じて、近藤さんは、きっぱりと、言った。 「キャンセル料金は、ちゃんと、請求してください。 社会勉強したと、思えばいいんです…決して、この経験を、無駄には、しませんから…。 それから、あなたに、関係ないことなのに、いっぱい、愚痴や弱音を言って、申し訳なかったです…。」 肩を落としたまま、必死に空元気を出して、私に、頭を下げる近藤さんを、放っては、おけなかった…。 「近藤さん!飲みに行きましょ!ぱあっと、やって、憂さ晴らししましょうよ!」 「…えっ…そんなこと…僕は…。」 「社会勉強した…なんて、理由じゃ、納得なんてできないでしょ? 私が、付き合ってあげたいんですから、気にしないでください。」 「気にしないでって…気にしますよ…。」 「袖すり合うも多少の縁ですよ、ねっ、ぱあっと、飲みましょう…て、言うか、私が、飲みたいんです。 付き合ってくれませんか?お酒?」 そうまで、言われては、近藤も、断り切れなかった。 「…それじゃあ、お願いします。」 「任せてよ!めちゃくちゃ、お酒の美味しい店、連れていって、あげるから。」
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