居酒屋で…

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「斎藤君。」 「ん?…何?」 向かいの相手が、思い詰めたような顔で、俺に話しはじめた。 「私は、今、まさに、その時のあなたと同じ気持ちなのよ…。 あなたは、もう、そんな気持ち持たないかもしれないけど…。 私は…今、ドキドキが、止まらないの。 私、新人研修の時に、あなたに、一目惚れしたの…。 でも、その後、全然、接点なくて…。 だから、今年、移動で、あなたと同じ部署に配属になって、すごく嬉しかったのよ。 2年も、我慢したの…もう…この気持ち、押し込められないよ…。 あなたが、好き…苦しいくらい、あなたが、好きなの…なんで、気付いてくれないの…?」 「君が、俺を…嘘だろ…。」 「…どうして、嘘つく必要があるの?」 「…でも、君は、大野と付き合ってんじゃないの?」 「私、大野君とは、何にもないわ! 大野君には、付き合って欲しいって言われたわ…。 でも、ずっと断ってるのよ。あなたを好きだから…。 お茶に、何回か行っただけで、彼女だなんて、思われたくないよ…。 ねぇ、斎藤君。今、誰とも付き合ってないなら、私を彼女にして!お願い!」 予想もしなかった話の展開に、俺は、固まってしまった。 斎藤翔太、25歳、それは、いきなり訪れた春だった…。
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