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「おぃ、みんな集まってくれ!」
4件目の殺人事件が起こり、全国合同捜査本部が立ち上がった。たった一ヶ月も経たないうちに東京、大阪、岐阜、広島の4県で事件は起きていた。そのどれもが睡眠薬で眠らされた後、手足などを拘束され、生きたまま惨(むご)たらしい殺され方をしていた。当初あまりに広範囲に渡るため偶然の一致としていたが、まずマスコミが騒ぎはじめ、警察は後手に回ったと世間的には解釈されていた。
が、現場の判断は少し違う。
「…睡眠薬を使う手口、残虐な殺害方法は一緒ですが、犯人はすべて別だと考えます」
大阪府警、第二の殺人現場の担当の坂下警部補の見解だ。私も同様であったし、他の現場担当も一緒であった。
「上層部の見解も皆と同じだが、我々はこれらの事件を指揮した者、もしくは組織があるのではないか?そう考えています。昨今、警察は暴力団撲滅にかなり力を入れています。また3.11の大震災以降、宗教や占い、セミナーなどの関連による相談事案も急増しています。それらとの背後関係も視野に入れつつ、一刻も早く犯人逮捕よろしく頼む!」
会議は4時間に渡り行われた。それぞれの担当が事件について詳細を発表後、それぞれに類似点がないか?を模索。被害者の職業や出身地、趣味や交遊関係にいたるまで、解っている範囲のすべてを話し合ったが彼らに接点はみられなかった。
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