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恐ろしくなった俺は健太郎に尋ねた。
「なぁ、さっきさぁ」
「ん?」
「今まさにチョコを受け取ろうとしていた男が消えなかった?」
出来れば、アルファ-1についても言及したいが、したら消されてしまうような気がした。
「気のせいだろ」
「いや、違うって!!渡そうとしてた女の子もいきなり居なくなっててびっくりしてたし!」
「キノセイサ」
……声から推測するにもうこれ以上聞いたら消されるな。
取り敢えず、黙る。
視界の端にボロボロになったチョコを受け取り損なった男が映る。
可哀想に…
まぁ、俺は要らぬ心配だろう。
今まで、16年間生きてきたが1個もチョコを貰ったことが無い。
よって、粛清される心配は無い。
嬉しいやら、悲しいやら。
そんなこんなで下駄箱だ。昇降口とも言う。
俺はここで心底驚く事になる。
まず、上履きを出した時に上履きの上にブラックサンダーがあったことだ。
人生初めての義理チョコ!!
腹から頭へとグンと喜びが駆け上る。本当に嬉しい時は声など出ない。今、実感。
健太郎も貰っていたため粛清されないはずだ。ボロボロにならずに済むと言うわけだ。
チョコをポケットにしまってから靴から上履きに履き替える。
健太郎に肩を掴まれた。
顔が嬉しそうだ。めっちゃニヤついてる。
わかるぞ、その気持ち。
「あ!おい待てよ。何か、お前の靴箱に入ってんぞ」
健太郎が俺の靴箱に何かを発見したようだ。
___そしてこれが悲劇の引き金だった訳だ。これにも心底驚いた。
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