序章

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 魔導永世紀600年。この世界に初めて出来た文明より長く存在する魔法が、その発展を終えた。そして、生命の創造まで出来る様になった魔法文明に危機が迫る。  最初に起きた異変は教会関係者の連続不審死だった。外傷も魔法を受けた形跡も無く、蘇生魔法が利かない遺体に人々は震え上がり、神に祈りを捧げ救いを願った。 だが、それが次なる災厄を招く結果となった。神に祈りを捧げる魔法、信仰魔法を使用した者が次々砂の塊に変わっていったのだ。その明確な神の拒絶に人々は怒り狂い、人類は神と決別を決めた。 後の文明の歴史に出てくる《第1次災厄》である。 神々に拒絶された人間に次に牙を剥いたのは、神の眷族である精霊や聖獣達だった。守護獣から精霊魔法の精霊まで、人工の精霊や聖獣以外の全てが人間を敵と認識。人を襲う様になった《第2次災厄》。  そして、神が産んだ人間以外の存在全てが人間の敵となった《第3次災厄》。人間と人間が造った存在は、文字通り世界の敵となったのだ。  だが人間も黙ってはいない。完成した魔法文明の技術を用いて世界に反撃を開始。人間だけの聖域を確立する事に成功したのだ。それによって事態は泥沼化。全ての存在が長い長い生存競争に身を投じる結末となった。 そんな世界に、英雄を目指す少年が居る。熱く優しい少年が英雄を目指して四苦八苦している頃、死に損なった兵士が鍛練を積んでいた。騎士道を突き進む男ががむしゃらに剣を振るっている頃、過去の英雄達が今一度世界を救おうと腰を上げた。屈強な老人達が錆びた剣に手を掛けた頃、賢者達が打開案を練っている頃、相容れぬ種族が手を結んだ頃、闇に生きる者達が光を救おうと立ち上がった頃。 ───世界が、時代が、1つの物語が始まろうとしていた。 『Rainy star~最期の夜に~』
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