9人が本棚に入れています
本棚に追加
キースはため息を吐き、朝食の皿にあるエッグとパンの内、パンだけを取った。
「こいつをもらっていくぜ」
彼はパンをくわえ、家を出ていこうとする。
「お兄ちゃん、エッグは?」
「もう時間がないからな。まっ、これだけあれば十分だ」
一口だけかじると彼は今度こそ家を後にした。
――――――――――――――
家から5キロほどの距離にある学校を30分かけて歩いたキースは教室に入るなり椅子に乱暴に腰掛け、机に顔を押し付けた。
「…はぁ」
疲れた、そう心の中で呟く。なぜ学校がこんなに離れているんだ?毎回あの道を通っているがいまだに慣れない。
(どうにかならないものかね…)
キースは内心でため息を吐く。
すると、自分の反対側から人の気配を感じた。
「おい」
偉そうな声が上から降ってくる。顔を見ずとも分かる。だからキースは寝たふりをして無視を決め込む。今までずっと走って来たのだ、こんな奴に構いたくない。
「おい!」
先ほどより強い口調で怒鳴られ更に机を蹴られた。
「ちっ!」
舌打ちを繰り出し、顔だけ振り向き机を蹴った者の方に見る。そこには案の定、ピンズがいた。顔には昨日自分がつけた傷がある。
「よお、これは昨日、俺にぼこぼこにされたピンズ君じゃないの。どうした俺に何か用か?」
最初のコメントを投稿しよう!