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「やれやれ、やるって言うなら仕方ないよな」
目を爛々と光らせ、口の端をつり上げる。
正に一触即発、彼等が自身の拳を握りしめたその時、
「お前たち、何をやってるかっ!?」
騒ぎを聞き付けたのか、はたまた他の生徒が報告したのか分からないが先生が駆けつけてきて二人の間に入る。
キースは先生の顔を見たとたん嫌悪の表情になった。
「また、お前達か。何度騒ぎを起こせば気がすむんだ?」
担任の先生は自分達に冷たい視線を送ってきた。
「ちっ」
キースはそっぽを向き小さく舌打ちをする。
キースは彼が嫌いだった。
自分に向ける視線だけではない。態度も言動も全てにおいて嫌いである。
「お前、いつまで俺や皆に迷惑をかける気だ?」
視線だけでなく声まで冷たい。嫌っているのは自分だけではない。彼もまたキースを嫌っているのだ。
キースははぁ、とため息を吐いた。
「…興醒めだな」
一言呟き、自分の席につく。とにかくこの先生から離れたかったし喋りたくなかったからだ。
ピンズも彼同様に考えていたのか大人しく自分の席に向かう。
他の同級生達も見かねて散っていく。
それから暫くして朝のホームルームが始まった。
キースは頬杖をついてそれを話し半分で聞きながらぼそっと呟いた。
「…退屈だ」
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