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「キース!!」
窓際で肘をつきながら物思い思いに耽っていると不意に後ろの方から自分を呼ぶ声が聞こえた。
彼―キースは考え事を邪魔され、不機嫌そうに鼻を鳴らしてから振り返った。
「何だよ、母さん」
まるで反抗期のような言い草で尋ねる少年。年は、10か9位。
短く揃えた漆黒のような黒い髪。つり上がった黒い瞳で睨み付けるように部屋の入口で腕組みをしている母を見つめる。
「……」
母、サ―ラ・バクスターは何も言わず、彼と同じ漆黒の長い髪を揺らして、只黙って彼の元に向かっていく。
「?」
疑問符を表している彼にサ―ラは拳を握り、おもいっきり拳骨をかました。
「いってぇ!何するんだ!」
抗議の声を上げると更に一発、二発。今度は避けた。かがみこみ、又は飛びずさる。
「ちょっ、マジあぶねぇって!本当何なんだよ」
流石に危ないと思ったのか、キースは叫んだ。
その言葉で母の動きは止まる。そして溜め息をはいた。
いきなり殴ってきてなぜため息を吐くのか。こちらが溜め息を吐きたいくらいだ。
「はぁ、あんたまたやらかしたようね」
「また?俺が何したんだよ」
彼は首を傾げた。今までの行動を思い返すが何も思い当たらない。
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