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――もう身体なんてどうなってもいいから早く借金を返したい。
この辛さから――逃げ出したい。
逃げても結果は同じなのは分かっている。それでも、逃げ出したい。
しかし、私が逃げたところで借金は消せず利子が重なって仕舞いには、返済できないほどにまで膨れ上がる。
そうなると今まで以上に厳しい生活になるだろう。
今でさえ返済のためだけに働いているのにこれ以上に膨れたら返済の見通しがつかなくなる。
家族がいない私にとって協力者はいない。全て自分自身でしなければならない。
「オラ! ボーッとしてっと怪我すンぞ!
死にてぇのか!!? サク!!」
「あっ! スミマセン」
この仕事の給料が20万
バイトの給料が10万5000。
良く貰えている方だと思う。
「仕事は仕事。私情は私情。
しっかりやれや!」
「…はい」
肩に鉄筋を担ぎ階段を上がっていると上にある作業場から大声で叫ばれた。
階段は幅が狭く人一人分のスペースしかない。
おまけに風もあり足を滑らせばあの世行きは免れない。
そんな所で私はボーッとしていたらしい。怒られても当然であった。
「ったく! オメーが悩むのも分かるけど危ねェから!」
「…はい…」
それほどボーッとしていたのだろうか?
それとも私は疲れているのだろうか?
たまに意識が飛んでしまう事がある。
こうやって話しをしている時でさえ会話が頭に入ってこない事もある。
借金の事で頭がいっぱいだから?
フラフラする……
――――――
‥い!‥ク!!
"なんだ?"
‥サ‥ク!!
"誰?"
―――――
「サク!!起きろ!」
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