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浮かんできた記憶を沈めるように、アイスティーを一気に飲み干した。 あたしは…いつも耐えていたんだ、あの視線と言葉に。 我ながらどうしてあんなに頑張れたんだろう…って思う。 「誤解はちゃんと解いてね……。 後々、あたしが…困るんだから」 「……」 「敵意が向くとしたらあたしなんだから。 …女子の苦情を全部サラッと流せるほど、あたし器用じゃない……」 「大丈夫」 グラスを掴んでいた冷たいあたしの手を、藤原は大きな手で包み込んでくれた。 「心配しなくていい」 「藤原の彼女だと思われたら、女子からまた…」 「守るよ」 「……っ」 「徹先輩と一緒にすんな」 あたしの気持ちは全部分かっている、というふうに微笑んだ藤原。 「それにゆりちゃん達は、そういうの広めたりしないから。 清水に突っかかることもしない。 むしろデート現場見れて嬉しいと思う」
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