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学校から帰ってくると、母が声をかけてきた。
母の顔には畳の跡がくっきり付いていた。
おそらく、夢の世界へおでかけしていたのだろう。
起きて、開口一番僕に声をかけてきた。
「あんた宛に小包が来てるわよ。また変なもの買ってんじゃないでしょうね」
母の声がやけにかれている。
昨日のアルコールがまだ残っているのだろう。
疑っている理由は、おそらく昔、本をパソコンで買ったらドでかい花瓶が代わりに送られてきたことがある。
後で調べてみると、新手の詐欺だったらしい。
未だに僕を疑ってるんだろう。
ちなみに、その時はらったお金は1万2千円。
ぼったくりもいいとこだ。
とりあえず、届いていた小包を持って僕は部屋へと向かった。
何も買った覚えがないので、警戒しつつ、そろそろ開けてみた。
すると、中には『RESET』と書かれたボタンと1枚の紙切れが入っていた。
より、警戒心が強くなったので一度しまいこむ。
こういうものは、出来るだけ触らず傷つけずが基本中の基本。
何を請求されるかわからない。
それでも興味があるのは事実。
心の中の葛藤を捨て、もう一度中を開けてみた。
そして、注意事項と書かれた紙を読んでみた。
「これは『RESET』ボタンです。今から言うことをしっかり守って活用してください。って詐欺じゃんこれ」
いよいよ確信した僕は、差出人の紙をもう一度見てみた。
すると、よくよく見るとめちゃめちゃ小さな字で『竣』と書いてあった。
悪戯であることは分かっていた。やっても意味がないということも分かっていた。
それでも、僕は『竣』という言葉が気になり、そのボタンを押してしまった。
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