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扉がカラッと静かに開いた。私は扉の方へ視線をやると…
赤茶色のパーマが緩くかかったショートヘアー。
は日本人離れした少し彫が深い顔つき。瞳の色が少し青く見える。
身長は椿姫より高く、170はありそうな細身体型。
日本人というより北欧の雰囲気を出している。
長い手足に黒い七分丈のパンツ、水色のストラップシャツがとても似合う。
思わず、目を奪われた。椿姫とは違う綺麗さで爽やか。
女性はマスターに軽く会釈をしてカウンター席に向かってきた。
私は内心、焦って悟られないように目線を下に向けた。
そんな私に気づいた椿姫はクスッと小さく笑った。
なっ!笑うなんて…と静かな怒りを隠した。
カウンター席に来た女性は座らず、マスターに話しかけた。
「やはり、想像以上に良い店ですね。ここで働けるなんて光栄です」
少し片言な日本語に聞こえた。
外国人!?と言っても可笑しくない外見。
爽やかな笑顔で私達を見ているように感じた。
椿姫は営業スマイルで女性に話しかけた。
「ここで働くって、マスターの孫娘かしら?」
椿姫の問いに対して、女性はまた軽く会釈して口を開いた。
「あ!すみません。お客様の前でベラベラと話してしまって!」
「すみません。私の孫娘、榊 涼子です。今日は店の研修を兼ねてお呼びしました。」
「孫娘の榊 涼子です。今後ともよろしくお願いいたします。」
「こちらこそ、よろしく。陽子、さっきから黙りでどうしたの?」
マスターからの紹介が終わるまで、私は黙って女性の様子を見ていた。
見ていたというより吸い込まれる
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