15章

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椿姫がわざと、私に話を振ってきた。 怒りすら、感じられないくらいの脱力感。 「べべつに!レポートのことを考えていただけー。涼子さんってハーフ?とても綺麗な顔つきだから。」 平常心を保って、涼子という女性に話しかけた。爽やか笑顔で私の方を向いて、答えてくれた。 「えぇ、私は母が北欧人、父が日本人です。この店のマスターは父方の祖父。母の血が多く出てしまって、時々英語で話しかけられることがあって困ります」 クスッと静かに笑う顔がまた綺麗だわ。 「涼子は10歳まで北欧に住んでいたんですよ。英語は話せるのですが、日本語がどうも苦手で。だから、今日は椿さんと陽子さんと話して接客を勉強しなさい。二人ともよろしいですか?」 なんという提供するのマスター!! だけど、焦った気持ちを表に出さずに笑顔で了解した。 「私はぜひ良いわよー。椿姫は?」 「私もいいわよ」 二人とも、快く引き受けた。 椿姫には内心見破られているに違いない。 焦る気持ちが増していく。 涼子は失礼しますと言って、私の隣に静かに座った。 ドキッ! うるさい心臓…。 爽やかな匂いが広がっていく。 この匂いが頭にクラッと来た。 ダメ、平常心! 「大丈夫ですか?顔色が優れない様子で」 ハッと我に返ると、目の前に爽やか笑顔が!! 「うわぁ!大丈夫よー。レポート疲れだからさ、ここのイチゴタルトを食べれば大丈夫ー。」 「大丈夫よ。この人は美…」 椿姫が何か余計なことを言い出そうとしたので、手で口を覆った。 何をするという、険しい表情で私を見る椿姫。 多分、椿姫は「美人好き」と言おうとしたはず。 涼子にそういう事は聞かれたくない。 「なら、良いんですが…。二人とも私と同じ大学と聞いて、どの学部ですか?」 「私は大田 椿、国際学部。」 そういえば、自己紹介してなかった
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