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それから数日が過ぎた頃。
barのオープニングパーティーの日。
パーティーだから、おもいっきりお洒落をして店に向かう。
だって涼子が…。
考えると勝手に胸が熱くなる。
自分でも恥ずかしくなるくらい…
「変な妄想しないでくれる?顔がニヤけて気持ち悪い」
白と黒のバランスがとれたシックな服装に似合う椿姫。
「女の子に気持ち悪いは失礼でしょー!涼子が…バーテンダーの格好を想像すると…」
「余計に気持ち悪いから。その顔、落ち着かせて」
バシッ!
背中を強く叩かれた。
うっと声を挙げた。
怪力美人めぇ…、肺がぶつれかけたわよ。
椿姫を軽く睨むと、店の扉がゆっくり開いた。扉からある人物が出てきた。
「椿さん、陽子さん!いらっしゃいませ。」
落ち着いた低めの声。
赤茶色のパーマがかかったショートヘアーは綺麗に整えられ、バーテンダー姿が様になっている涼子。
私は一瞬だけ胸が羽上がるが、平常心を保とうと必死。
涼子は私達を店の中へ入れ、カウンター席に案内してくれた。
カウンター席にはニッコリ笑顔のマスターがグラスを拭いていた。
店は暗めでアロマキャンドルが所々、置かれており、癒しの空間になっている。
「いらっしゃいませ、お二人さん。今日は何でも注文してください。お客様第一号ですよ」
「そうなんですか。なら、マスターにお任せカクテルをお願いするわ」
マスターファンの椿姫が第一に食い付く。
私はバーテンダー姿の涼子を目で追ってしまう。
私達以外にもお客さんが入ってきて、落ち着いた姿勢で接客をしている。
「何でも出来るのねー」
ちょっと、嫉妬してしてしまう。
マスターがカクテルを受け取り、ゆっくりと口をつける。柑橘系の香りが口腔内に広がっていく。
「飲むペース考えてよね。店なんだから、接客は仕方ないし、生き生きと働いているなら見守りなさいよ。」
「うっ!人の心を読まないでくれる?私は別にそこまで考えてないからー」
どうして、いつも椿姫にはバレるのかしら。
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