15章

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心臓がうるさい、変な汗が出てくる。 平常心を装い、涼子に笑顔を向ける。 「レポートだよー。だからbarにも行けなかったの。そっちは講義?」 「Ja」 ドイツ語で話す習慣が抜けないのね。さっきも普通に「なにしてるのですか?」ってドイツ語で聞いてくるくらいだから。 「そっか~…」 気持ちが焦る分、話題が思い浮かばない。 一体どうしたのだろう…こんなこと有り得ない。 暖かい手が頭に触れる感覚が伝わる。 「良かったら、食事にいきませんか?この前のお礼も兼ねて」 それってチャンス!! 身体中が熱くなり、すぐに返事をした。 「いいわね。ちょうど涼子とはゆっくり話したかったの。私が知ってる店がいい?」 「もちろんです。じゃあ、いきましょう」 涼子は芝生に、散らかっている参考書や資料を片付けまとめている。 片付けている姿も画になる。 「いいわよー。そんなことにしなくても」 我にかえって、涼子のそばに近寄る。 爽やか笑顔で私の荷物を静かに渡す。 「このくらいさせて下さい。この前は本当に助かったんですから。」 「あれは…その…勝手に身体が動いただけよ。気にしないで」 まともに涼子の顔が見れない。 私はスタスタと歩き出して、ランチの場所へと向かう。 多分、不思議な顔をしているはず。見れる余裕がない。
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