15章

22/25
前へ
/242ページ
次へ
「カッコ悪いところ、見られたなー。医師を目指している者が自己管理が出来ないなんて…」 本当は好きな人の前で、醜態を晒したことが悔しい。 好き…?私が…? 身体がおかしい… 「陽子さん…目から出てますよ…」 「えっ?」 涼子に言われて、目元を触ると…かすかに濡れている。 これは… 気づくのが遅かった。 暖かい手が私の頬に触れる。 「あまり無理しないで下さい。何かあったらお話聞きますから。」 優しい笑顔。 日本人離れした綺麗な顔が余計に綺麗に見える。 「年下のくせに生意気よ…」 「よく言われます。」 またニッコリと笑って、私の頭を優しく撫でる。 私…涼子のことが… 喉まで言葉が出てきている。 体温がグングンとあがって、心臓がうるさい。 「……き……」 「えっ?陽子さん、何か言いました?」 声が震えて、まともに涼子の顔が見れない。だけど… 「好きなの!貴女が好き」 子供っぽい告白、今の私には精一杯の告白。 病室に私の声が響いたけど、周りを気遣う余裕がない。 涼子の反応が気になるけど、聞きたくない。沈黙が病室に続いた。 「……」 「……」 胃が壊れそうなくらい痛い。 こんなに緊張したのは初めて。 沈黙を破ったのは……
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

313人が本棚に入れています
本棚に追加