15章

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「陽子、貴女が私に言ってくれたのよ。見守る大切さについて。貴女はそれを涼子に出来ないの?」 「涼子」というワードを出されると、身体中に緊張が走る。 涼子は悪くない…頭では分かっている。 「私はもう出来ない。入る隙間がないんだから、椿にはまだ出来るの。だけど…寂しいから椿姫を道連れにする」 「何を勝手に!」 「不安なんでしょ?相手が振り向いてくれるか。」 図星を言われたのか、椿姫の表情が暗くなって行くのが分かる。 「椿姫の辛い気持ちを理解できるのは、私だけよ。大丈夫よ…貴女が不安から解消されるまで側に居るから」 きっと、私の表情はとても皮肉たっぷりな顔をしている。 椿姫一人だけが前向きに行く事が許せない。 「陽子……」 私の名前を小さく呼んだ。 私は椿姫の頬に手を添えて、距離感をゼロにしていく。 「一緒に堕ちましょう。」 椿姫の唇を奪った。 返事なんかさせない、そういう権利も奪ってみせる。 堕ちるって、とても簡単なこと。 一人は絶対にイヤ。 私って、本当に卑怯者。 翌日、産まれたまま姿で椿姫が隣で寝ている。 シーツがグチャグチャになってることはあまり気にせず、椿姫の髪を触る。 「綺麗な黒髪…」 静かに笑って、バスローブを身にまとい、窓辺に座り込む。 青空を見ながら、少しだけ考えた。 「フフッ…これからが楽しみねぇ。」 全てはここから始まった。 椿と私の関係。 懐かしい思い出。 あれから6年。私はコーヒーを飲みながら、呟いた。 「そろそろ、タイムリミットかしらね。椿姫、貴女は試させてもらおうから。楽しみで仕方ない」 コーヒーカップを置き、携帯を取り出して電話をかけた。 口角を静かに挙げて、鼻歌交じりで教室を後にした。 願わくは、貴女の隣に…
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